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2021.05.31
沖縄に伝わる独自の戸籍、家系図?かつての琉球王国の『家譜』とは?

現在の沖縄県、かつての琉球王国は、本土とは異なる独自の文化を持っていました。

では戸籍などの記録に関しては、どうなっていたのでしょうか。

 

琉球王国の歴史■


かつて『琉球』という王国がありました。

みなさんご存じのように現在の沖縄県ですね。

 

琉球王国は、国王を頂点とする独自の国家を形成していました。

1187年に「舜天王統」が始まり、以後、「英祖王統」、「察度王統」とつづきます。

14世紀の琉球は、北山・中山・南山に分かれて互いに争っていましたが、第一尚氏王統の尚氏志王が打ち勝ち、三山統一を成し遂げました。

 

14世紀から16世紀にかけて、琉球は中国・日本・朝鮮・東南アジア各国と中継貿易を行い、大いに栄えました。

後に「大交易時代」と呼ばれたこの時代の繁栄の様子は「万国津梁の鐘」の銘文として刻まれています。

 

しかし1609年、日本の薩摩藩が3,000名の大軍をもって琉球に侵攻します。

以後、琉球は日本の幕藩制支配に組み込まれますが、中国との関係も続け、日中両国との外交的関係のもと、王国体制を維持していきます。

 

■琉球独自の戸籍ともいえる「家譜」■


そして1689年、琉球の士族層に「家譜」の編集が命ぜられました。

 

『沖縄大百科事典』によれば「家譜」とは、次のようなものです。

「近世期、士族が有した家系に関する記録。系図ともいう。一族(門中)ごとに特定された姓を冠して作成された。本家および分家においても作成され、各系祖以下の各人の戸籍(世系)、履歴(記録)をおもな内容とした。」

 

同事典によると沖縄本島系は、約700系統、3000冊があったそうです。

家譜は2部ずつ作成され、うちの1部は「系図座」で保管されました。

そしてもう1部は、王府の頒賜認定を示す 御朱印を押された後に各家での保管となったのです。

5年に一度追加編集をして事項を書き足していますが、家譜は士族だけが作成したものであることから、家譜があるかないかで士農分離が確定しました。

 

ちなみに「門中」とは父方の血族で繋がる一族を指しています。

 

系図座で保管されていた家譜は1945年の太平洋戦争沖縄戦で焼失したとされており、各門中で保管されていた家譜も散逸したものが多いようです。

 

現存している家譜を、複製を中心にもっとも多く収集・保存しているのは那覇市歴史博物館で、約700冊を所蔵しています。

那覇市歴史博物館デジタルミュージアム

『家譜資料』

 

■女性を元祖とする家譜■


 

家譜には、大きく分けて、首里系、那覇・泊系・久米系と三つの系統があります。

那覇・泊系には、近現代の沖縄本島では禁忌とされているような、女性の元祖や他系からの養子、婿養子、外祖父への養子などの相続継承が見られるそうです。

 

女性元祖については、三つの事例があるとか。

 

宇姓の思嘉那という女性は、薩摩商人である宇兵衛に嫁ぎましたが、夫は琉球に永住することができず、単身薩摩へ。

後に琉球王府が困窮したとき、思嘉那は銅銭16万貫を寄付、その功績により譜代家譜を賜りました。

夫の資本力のおかげを忘れないためにとその名前から「宇」をとって姓としたそうです。

 

他二例は、夫が早世していました。

また、二人とも思嘉那と同じように、財政が逼迫した王府に献上をしていて、その功績が認められ、女性を元祖として新しく家譜を下賜されていました。

 

以上のことから、王府と系図座のなかに、家系の創設継承に関して、男系原理が徹底されていたわけではないと推察することできるそうです。

 

 

■沖縄の家系図は父親のルーツを辿る■


沖縄において本土でいう「一族」の概念を表すのは「門中」です。

門中は父系の血族のルーツだけを記してあるもので。本土で作成する家系図と沖縄の父系に基づく門中による家系図は異なります。

本土の家系図では、婚族を記入しますが、門中は婚族としては自分の配偶者のみを記入し、その親、兄弟、甥姪、叔父、叔母などはいっさい、記入されることはありません。

門中の系図では父親のルーツを探ることになります。

父親はその親の代、即ち祖父の何番めの息子かが記入され、祖父の代でも同様に、その上の代の何番めの息子になっているのか、と辿っていきます。

もちろん、母親にも父と母がいますが、そのルーツは記入されることはありません。

門中による家系図は、現代ではともすれば男性中心社会の象徴のように見えますが、沖縄の人たちの間には、元祖を同じくする子孫の誇りを共有するものだという解釈があるようです。

 

 

■大和の系図の「代」は、沖縄では「世」■


 

門中では、生まれた順に従って、元祖から始めて「一世」「二世」「三世」と数えます。

自分の代まで何世代を経ているのかは、門中を介さずに知ることはできません。

 

本土での「代」の考え方とは異なる世代の認識に、沖縄と琉球の文化の独自性を感じますよね。

系図を作成する動機も、自分が元祖から数えて何世になっているのかを知りたいというものが多いそうです。

 

同じ門中の人同士で「門中会」というものを組織し、その会で系図を作成するなどのこともあるとか。

ある門中会は沖縄県内県外合わせて約80世帯、国外に40世帯で合わせて120世帯の組織となっています。

門中で執り行う伝統行事も数多く、一門の親交を深めているそうです。

 

元来が日本とは別の国「琉球王国」だった沖縄。

「家譜」と「門中」は、本土の「戸籍」や「一族」と置き換わることはありませんでした。

独自の文化を、人々はいまも保持しているのです。

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