2023.08.14
「ベルサイユのばら」連載開始50周年!
「ベルサイユのばら」連載開始50周年!
男装の近衛連隊長オスカルを主人公に
フランス革命という激動の時代を描いた
池田理代子による少女漫画『ベルサイユのばら』。
1972年の連載開始から昨年50周年を迎えました。
50年といえば半世紀。
まさに「金字塔」と呼ぶにふさわしい作品でしょう。
『週刊マーガレット』での連載当時
リアルタイムで読んでいた女の子たちはもはや60代。
彼女たちのなかでは
「オスカル様」は永久に不滅の憧れです。
夢中で読むうちにフランス革命に詳しくなり、
世界史に興味を持って大学で専攻したという人もいたとか。
オスカルとアンドレ、
マリー・アントワネットと
スウェーデン貴族フェルゼンとの恋愛も
作品の重要なファクター。
それぞれ、忍ぶ恋があり、
片想いがあり、国をゆるがす大恋愛があり。
少女たちはロマンに胸をときめかせました。
今回はそんな二重の意味で
「歴史的」な少女漫画である『ベルサイユのばら』を、
題名だけは聞いたことがあるという方にも
少しだけ詳しくなっていただけるようにご案内します。
オスカル様のフルネームは
男装の麗人にして近衛連隊長のオスカルは
池田理代子氏が創作した架空の人物です。
誕生日は1755年12月25日、
亡くなったのは1789年7月14日、
まさにパリの民衆がバスティーユ牢獄を
襲撃したフランス革命のはじまりの日です。
そしてオスカルの本名は
「オスカル・フランソワ・ドゥ・ジャルジェ」。
代々フランス王室の軍隊を統率してきた
ジャルジェ家当主レニエ・ドゥ・ジャルジェ将軍と、
元宮廷画家ジョルジュ・ラ・トゥールの曽孫
ジョルジェットの間に生まれた六女です。
男児が一人も生まれなかったため、
末娘のオスカルは男の子として育てられます。
ブロンドの髪に深く青い瞳、
少女時代から美しく肖像画家が
「軍神マルスの子」として白馬にまたがらせた姿で描くなど、
男性も女性も惹きつける麗人でした。
同い年のマリー・アントワネットが
14歳でフランツ王室に嫁いできた際に出会い、
その後生涯に渡って関わっていきます。
オスカル初めての恋
二人が18歳のとき、
宮廷で仮面舞踏会が開かれ、
やはり18歳のスウェーデンの青年貴族フェルゼンが現れて、
マリーとフェルゼンは恋に落ち、
オスカルもフェルゼンを慕うようになるのでした。
オスカルときょうだいのように育ったアンドレは
乳母の孫で身分違いの恋心を隠しつつ、
いつもオスカルに寄り添っていました。
オスカルはそんなアンドレの想いに気づくことなく、
フェルゼンへの片想いを募らせながらも
近衛連隊長としてマリー・アントワネットと王室に尽くします。
高まるフランス国民の不満
美しく無邪気な若い王妃マリー・アントワネットは
取り巻きに囲まれて
豪奢で享楽的な宮廷生活を続けていました。
そのいっぽうで民衆は貧困にあえぎ、
その不満は次第に高まっていきます。
オスカルは、
貴族の屋敷を狙う「黒い騎士」という盗賊を捕らえたとき、
初めて民衆の貧困と不満を知るのでした。
アントワネットの寵愛を受けて
准将にまで進級したオスカルでしたが、
民衆の苦しみを目の当たりにして近衛隊を辞め、
フランス衛兵隊のベルサイユ宮殿常駐の部隊長に就任します。
荒くれ者ばかりの衛兵隊で
当初は衝突もありましたが、
オスカルの兵士としての実力と度量が彼らを黙らせます。
フランス革命と恋人たちの最期
1789年、僧侶・貴族・平民からなる
「三部会」が開かれますが、
国王・貴族と平民議員の対立は激化、
革命の色を帯びてくるのでした。
7月13日、衛兵隊にパリ出動命令が下ります。
すでにアンドレの愛を知り、
自分の気持ちにも気づいていたオスカルは、
出動前夜にようやくアンドレと結ばれます。
13日のパリ出動で、
アンドレはオスカルを庇って被弾、戦死します。
14日、オスカルは貴族の身分を捨て、
民衆とともに戦うことを決意。
バスティーユ襲撃に加わりますが、
銃弾に倒れ、アンドレのもとへと旅立ちます。
「ベルサイユのばら」はこの後も続きますが、
オスカルとアンドレが結ばれ、
アンドレが死に、
オスカルが死ぬ、
この7月12日から14日までの三日間は
ファンの間で「ベルばら三が日」と呼ばれているそうです。
バスティーユの陥落から革命の火は
フランス全土へと広がります。
王侯貴族はパリを逃げ出しますが、
民衆に捉えられ、次々と断頭台に消えていきました。
フェルゼン伯爵は囚人となった
アントワネットを密かに訪れ、
救出しようとします。
しかし、アントワネットは
王妃をしての死を選ぶのでした。
絶望したフェルゼンはスウェーデンに帰国、
愛する人を奪われた恨みから民衆を弾圧、
最期は民衆によって殺されてしまいました。
『ベルサイユのばら』を原作とする舞台、映画、アニメーション
『週刊マーガレット』での連載は1973年に終わります。
1974年、宝塚歌劇団がいち早く舞台化。
以来再演を繰り返し、
2014年には通算観客動員数500万人を突破しました。
宝塚歌劇団の歴史上最大のヒット作となっています。
1979年にはジャック・ドミ監督によって実写映画化、
フランス政府の協力を得て
ヴェルサイユ宮殿での撮影が特別に許可されたそうです。
公開時には化粧品会社とのタイアップで
大々的にキャンペーンが張られるも、
興行収入が製作費10億円を下回るという結果に。
テレビアニメーションは
1979年10月10日から1980年9月3日まで
日本テレビとその系列局で放送。
原作とは違う演出も随所に加えられましたが、
人気作品となりました。
ちなみに、1987年には
テレビアニメーションを編集して
声優を一部変更したビデオ作品が発売され、
1990年には劇場公開もされています。
連載開始から50年間愛されつづけている
「ベルサイユのばら」。
もしもあなたが未読なら、
ぜひ一度ページを開いて、
美しいブロンドのオスカル准将と出会ってみてはいかがでしょうか。