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2023.11.06
あなたの名前はなんて読む 戸籍における名の読み仮名について

キラキラネームの名づけが可能なわけ

 

生まれたこどもに名前をつけるのは、

その子の一生をある意味で決定する厳かな行為です。

 

日本では両親が話し合って決めることが多いでしょう。

 

画数などに配慮して

専門家に依頼してつけてもらった

という話も聞きますね。

 

尊敬する恩師や先輩に

名づけてもらう場合もあるかも知れません。

 

健やかに成長し幸せな人生を送れるようにという願いや、

こんな心を持つ人になって欲しいという希望を託された名前は、

それぞれの意味を表して輝いています。

 

その「輝き」の部分を強調する名前が、

いわゆる「キラキラネーム」なのでしょうか。

 

アニメのキャラクターや

物語の主人公を思わせるような名前や、

アイドルの芸名のようにとに

かくかわいらしい名前を持つこどもたちが増えてきて

「キラキラネーム」と総称されるようになってから、

もう25年ほど経つそうです。

 

「キラキラネーム一期生」

いまではすっかり大人になっているということですね。

 

キラキラネームの特徴の一つは、

漢字の読み方にあります。

 

最近の例では「心楽」と書いて「しあわせ」、

「時間」と書いて「ゆめ」と読む男の子や、

「耳長」と書いて「うさぎ」、

「甘幸」と書いて「けえき」

と読む女の子がいるそうです。

 

なぜこのような名づけが可能かというと、

戸籍には「読み仮名」の項目がないからです。

 

住民票については

読み仮名の記載は市町村の判断に任せられています。

 

 

 

法律上でいう読み仮名「傍訓」の扱いの変遷

 

法律では読み仮名のことを「傍訓」と呼びます。

 

漢字の「傍(かたわら)」に書かれる

「訓(漢字の日本語による読み)」

という意味になります。

 

戸籍上の「傍訓」は漢字ごとの読み方ですが、

正式な記載ではありません。

戸籍上の名の一部というわけではないのです。

 

明治以来、

出生届などの提出の際に

傍訓の希望の申し出ができました。

 

届出の「その他」の欄に戸籍に傍訓を

記載されたい旨を書くと

役所はそれを受け容れて記載したのです。

 

ただし、傍訓が名に用いた漢字の音訓や

字義にまったく関連を持たない場合は、

申し出を受け容れず、

記載はしなかったそうです。

 

傍訓には名の読み方を

公に明らかにできるというメリットがありましたが、

社会生活全般で

名+傍訓」が必須と考える傾向が生まれ、

煩わしさがあるとして、

戸籍から傍訓を削除することを希望する人が増えました。

 

傍訓の削除には、

昭和10年代は名の変更や

訂正と同じ手続きを踏む必要があるとされ、

裁判所の許可が必要でした。

 

しかし、そもそも傍訓は

正式な戸籍上の記載ではありません。

 

昭和50(1975)年に本人

あるいは届出人から削除の申し出があった場合、

市町村長限りで削除して

差し支えないものとされました。

 

さらに昭和56(1981)年には

削除の申し出は名を有する本人のみに限定されました。

 

以上のように、

戸籍の傍訓にはあまり意味がなく、

実際に削除されているものが多くなっていきました。

 

一部の戸籍にだけ傍訓があるという状況には

まちがいが起こりやすいなどのデメリットがあり、

平成6(1994)年に戸籍の傍訓の制度は廃止されました。

 

平成6(1994)年というと現在から27年前です。

 

キラキラネームが増えてきたのは

この25年ほどという事実と時間が重なりますね。

 

戸籍から傍訓つまり読み仮名が正式に消えてから、

名の読み方の自由度がどんどん上がっていったわけです。

 

 

平成時代にデジタル化が進み、読み仮名が必要になってきた

 

いっぽう平成の時代には、

あらゆるデータのデジタル化が進みました。

 

個人データの検索には

漢字よりひらがなやカタカナが便利です。

 

たとえば同じ漢字の名前でも読み方が違う場合、

漢字で検索をかけると実際には違う名前の人たちが

一つのグループに入ってしまうことになりますが、

ひらがなやカタカナでの検索ができれば

そういう事態は起こりません。

 

令和3(2021)年9月16日上川陽子法務大臣は

行政の事務処理を効率化させるため、

戸籍に記された氏名の漢字に

読み仮名をつける検討を法制審議会に諮問しました。

 

これに応え、

法政審議会の戸籍法部会は令和4(2022)年5月17日、

戸籍の氏名に新たにつける

読み仮名に関する中間試案をまとめました。

 

ここでは、いわゆるキラキラネームなどの漢字本来と

異なる読み方をどこまで認めるかについての

三つの基準案が提示されました。

 

それぞれ、読み方を認める範囲を、

・戸籍法に定めず、

命名権の範囲を超えるなど権利の乱用がなく、

公序良俗にも反しないといった、

法の一般原則に基づき判断

・音訓読みや慣用で読まれ、

または字の意味と関連があるものを許容

・(2)に加え、法務省令で定めたものを許容

としています。

 

読み仮名については、

カタカナになる可能性もあるそうです。

 

法政審議会の戸籍法部会では

同年5月下旬からパブリックコメントで意見を募ったうえで、

さらに検討を行って答申をまとめることとしています。

 

名前は自分のものであると同時に、

他者から呼ばれるものです。

 

呼びまちがえられると

ちょっとしたストレスを感じることがありますが、

読み仮名がつくことで

そういう機会が少なくなるとしたら、

個人にとってのメリットもあるのかも知れません。

 

 

 

 

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