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2023.09.29
みんな大好き焼き芋の歴史

みんな大好き焼き芋の歴史

 

本格的な秋を前に、

ドーナツショップでは

焼き芋ドーナツが発売され、

カフェチェーンからは

焼き芋味のシェイクや飲み物がつぎつぎ登場、

なんとコンビニエンスストアや

自販機でも焼き芋ドリンクが買えるとか。

 

コンビニには焼き芋を使ったスイーツや

アイスクリームも目白押し。

どれもおいしそうで、

すぐにも買いにいきたくなります。

 

もちろん焼き芋そのものも、

もう数年前からブームが続いています。

 

従来からある紅あずまなどのホクホク系から

安寧芋などのねっとり系新顔が流行り、

それに飽きた人たちがまたホクホク系を求めている

という話も聞きました。

 

冷凍された焼き芋も出回っていて、

半解凍で冷たいまま食べるのもおいしいそうです。

 

つまり、みんな大好きなんですよね、焼き芋が。

 

ホクホクでもねっとりでも、

熱々でも冷たくても、

ドーナツでもドリンクでもスイーツでも。

 

筆者のような昭和の東京下町のこどもには

おじさんが引っ張っていた屋台の記憶もあります。

 

新聞紙で作った袋に入れてくれるので、

焼き芋の香ばしい匂いに

温まったインクの匂いも混ざり、

それがまた食欲をそそるのでした。

 

秋というより冬の思い出でしたね。

 

 

焼き芋は江戸時代から庶民のおやつ

 

焼き芋の材料のさつまいもの原産地は

中南米のメキシコ周辺です。

 

日本に入ってきたのは江戸時代の初め、

琉球国、薩摩藩を通じてのことでした。

 

江戸時代のなかごろには関東でも作られるようになり、

とくに現在の埼玉県川越市あたりは

焼き芋の原材料を江戸市中に

供給する一大産地となりました。

 

 

寛政期(1789〜1801年)には

江戸各町の出口を守る門番の詰め所である

木戸番屋が雑貨や駄菓子を売る店も兼ねていましたが、

そこで焼き芋も売られていたのです。

 

当時の焼き芋の製法は、

店の土間やひさしの下に

土でかまどを作り、焙烙(ほうろく)

と呼ばれる土鍋をのせて底にさつまいもを並べ、

重い木の蓋をして蒸し焼きにするというのでした。

 

木戸番の内職仕事としての焼き芋屋は

大繁盛したそうです。

 

 

 

明治から大正へ、焼き芋の変遷

 

 

明治時代に入っても焼き芋の人気は衰えることなく、

東京の下町を中心に

直径1メートルもある大きなかまどを

三つも四つも並べて焼き芋を売る

大型の専業店が現れました。

 

首都となった東京に人口が増加し、

焼き芋は安価な食糧として需要が高まったのです。

 

夏場のかき氷店を兼ねる店も多くありました。

 

しかし、大正11(1923)年、

関東大震災が起こると、

その復興のなかで東京では

新しいものが好まれるようになりました。

 

人々の好みは洋菓子に移り、

さつまいもを使ったものでは大学芋が人気を集めました。

 

焼き芋の大型店は廃業を余儀なくされ、

かまどの蒸し焼きから、

中国由来の「壺焼き」での小商いへと移っていったのです。

 

壺焼き芋は、針金を曲げてさつまいもを刺し、

つぼの内側に吊るし、

底に置いたコークスや木炭に火を入れたら

鉄の蓋をしてじっくりと蒸し焼きにするものです。

 

 

 

戦後に生まれた石焼き芋

 

昭和16(1941)年に太平洋戦争が勃発、

さつまいもは国の統制品となり、

自由な売買ができなくなりました。

 

戦災もあいまって

東京の焼き芋店も姿を消すこととなります。

 

終戦の5年後、

昭和25(1950)年に

さつまいもの統制が解除され、

石焼き芋の屋台が登場します。

 

創始者は墨田区向島の三野輪万蔵さん

 

鉄製のかまと石の重量に耐えるべく

特製のリヤカーも設計して、

かまとともに鉄鋼所に作らせました。

 

石は建材に用いる

「大磯三分」がいいとされていたそうです。

 

 

親方は道具一式と、

さつまいも、燃料、宿舎を用意して、

冬の出稼ぎとして

雪国の農家の主人を雇い入れました。

 

昭和45(1970)年ごろには

東京だけで1000人の売り子がいたそうです。

 

 

 

ファストフードとコンビニに押されてふるわなかった時期

 

1970年といえば大阪万博。

ファストフードのハンバーガーチェーンが

日本上陸した年でもあります。

 

時を同じくしてカップ麺が発売され、

スナック菓子が人気を集め、

おやつ事情がどんどん変わっていきました。

 

70年代半ばには大手コンビニチェーンが

つぎつぎに店舗をオープンしたのも、

焼き芋業者には痛手でした。

 

売り上げは最盛期の10分の1にも満たなくなりました。

 

 

 

平成に始まった焼き芋ブームの立役者

 

2003年、かねてより遠赤外線を利用した

「焼き芋オーブン」の開発を続けていた

栃木県のメーカーが特許を取得、

同年、静岡県のスーパーマーケットチェーンで

この電気式オーブンによる焼き芋が初めて発売されました。

 

またこの頃から、

消費者の嗜好がホクホク系の紅あずまなどから、

しっとり・ねっとり系の安寧芋に移行、

2007年には同系で甘いべにはるかの栽培も開始されました。

 

べにはるかは2015年には人気品種のトップとなっています。

 

 

以来、焼き芋ブームは続き、

焼き芋そのものだけではなく、

冒頭にも書いたように

お菓子やドリンクにも発展しています。

 

季節を問わずいつでも食べられるようになったとはいえ、

やはり焼き芋がどうしても食べたくなるのはこれから。

 

寒さのなかに立ちのぼる湯気も味のうちですからね。

 

駅前の八百屋さんの焼き芋をきょうは買いにいきましょう。

月を見ながら団子と焼き芋で秋を楽しめますね。

 

 

 

 

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