2021.04.03
ヤフオク出品後、法務局が回収!絶対閲覧不可の封印された『壬申戸籍』とは?
日本人のアイデンティティの基礎とも言える『戸籍』について、あなたはどれくらいご存知ですか?
ご自身の戸籍を見る機会はそれほど多くはないですし、ましてや戸籍の歴史について詳しくご存知の方はあまり多くないのではないでしょうか。
今回は家系図を作成するための基礎となる『戸籍』について解説していきたいと思います。
法務省の金庫にしまい込まれて、絶対に閲覧することのできない封印された『壬申戸籍』についても解説します。
日本の戸籍について
日本国民を把握するための登録制度は、様々な変遷を繰り返して、現在はきわめて精度の高い「戸籍制度」が運用されています。
実は、戸籍は日本のほか、台湾と中国にしかない東アジア特有の仕組みです。
かつて韓国にも戸籍制度があったのですが、すでに廃止されて個人単位の登録制度に変更されています。
では日本では、いつ戸籍制度が始まったのでしょうか?
江戸時代には、江戸幕府や寺社が管理する「人別帳」、「宗門改帳」や「過去帳」といったものがありました。
しかし、江戸時代が終わって明治時代になると、近代国家を目指して戦争のために全国的に徴兵を行ったり、円滑な徴税制度を作り上げる必要性が高まりました。
そこで明治政府は、国民を全国一律に正確に集計するための仕組みとして「戸籍制度」を設けたのです。
ただし、戸籍はその当時に作られたままの内容で現在まで使用されているわけではなく、戸主(家長)制度の廃止などによって民法が改正されたり、戸籍の記載内容の変更、コンピューター化などによって、これまでに何度か作り変えられています。
絶対閲覧不可の『壬申戸籍』とは?
日本最初の戸籍は、明治5年に施行された「戸籍法」にもとづく『壬申戸籍(じんしんこせき)』です。
この戸籍は、施行された年の干支が壬申(みずのえさる)の年だったので、『壬申戸籍』(じんしんこせき)と呼ばれています。
「しかし、壬申戸籍には重大な問題点がありました」
壬申戸籍には「皇族」「華族」「士族」「平民」といった身分や、職業、犯罪歴、死因などのきわめて繊細な情報が記載されていたのです。
(お妾さんの記載まであったそうですから驚きます)
記載様式も各地で自由に定められていたようで、かつての被差別部落出身者を「新平民」などと「平民」とは区別して記載したものがあるなど、当然のことながら重大な差別につながるおそれがありました。
昭和43年には、壬申戸籍をもとにして被差別部落出身者を調査していた事件が発覚して大きな問題になりました。
そこで、法務省は昭和43年の通達によって『壬申戸籍』の閲覧を一切禁止し、壬申戸籍はこれによって闇に葬られることになったのです。
たとえ先祖の戸籍だとしても、この『壬申戸籍』を閲覧したり、謄本を取得することは絶対に出来ません。
2001年には『壬申戸籍』の情報公開請求をした事例がありましたが、行政文書非該当を理由に却下されています。
ヤフオク事件
ところが、この『壬申戸籍』が、2019年にヤフーオークションに出品され、約13万円で落札されていたことが分かって大騒ぎになりました。
これは運営会社であるヤフーがサイトを巡回していた際に発見されたものだそうです。
ヤフーから連絡を受けた法務省は、落札を取り消させたうえで、出品者から『壬申戸籍』を回収したそうです。
法務省としては、絶対に人の目に触れてはいけない、出回っては困る門外不出の書類だと考えていることが分かりますよね。
『壬申戸籍』に関しては、2017年にもやはりネットオークションに出品されて法務省が回収したことがありました。
出品者も、このような騒ぎになるとは思わずに、軽い気持ちで出品したようです。
【動画でも解説しています】
まとめ
家系図作成の目的だけであれば、『壬申戸籍』まで取得できれば更に先祖を遡れるのになあ、と思いますがやむを得ませんね。
僕も実物の『壬申戸籍』は一度も見たことがありません。
閲覧が禁止された昭和43年以前に取得された『壬申戸籍』をお持ちの方もきっといらっしゃると思います。
僕も職業上の興味がありますので、いつか機会があれば一度現物を見てみたいなあ、と思っています。
わたしたち『家系図ラボ』は、戸籍収集に関しては絶対の自信を持つプロです。
戸籍に興味を持たれた方はぜひ、家系図づくりをご検討なさってみてください。
【近藤】