2022.10.26
内閣府によるアンケート 婚姻した場合の名字・姓に関する考え方について②
内閣府によるアンケート 婚姻した場合の名字・姓に関する考え方について②
家系図を作成するときに
核になるものの一つは名字です。
物心ついたときには名乗っていた名字。
結婚して相手の姓に改めてからの名字。
離婚をして旧姓に戻ることもあります。
珍しい名字ベスト10に入る名字であれ、
最多名字ベスト5に入る名字であれ、
人生の始まりから終わりまでわたしたちとともにある名字。
あなたは、他の人たちは、そんな名字
とくに家族と婚姻にまつわる名字について、
どのように考えているのでしょう。
前回に続き、
内閣府が令和3(2021)年に行った
「家族の法制に関する世論調査」から
「婚姻した場合の名字・姓についての考え方」
を参照していきましょう。
この世論調査の母集団は全国の市町村に居住する
満18歳以上の日本国籍を有する人で標本数は5,000人です。
https://survey.gov-online.go.jp/r03/r03-kazoku/2-2.html
婚姻による名字・姓の変更に対する意識は
結婚して改姓した経験のある方は、
その前後のさまざまな手続きはもとより、
自分の意識の変化について記憶されていることと思います。
この世論調査では
「婚姻によって
自分の名字・姓が相手の名字・姓に変わったとした場合、
どのような感じを持つと思いますか」
と聞いています。
「名字・姓が変わったことで、
新たな人生が始まる喜びを感じると思う」
と答えた人の割合がもっとも高く54.1%で
もっとも高くなっています。
以下、
「相手と一体になったような喜びを感じると思う」39.7%
「名字・姓が変わったことに違和感を持つと思う」25.6%
などの順になっています(複数回答)。
「なにも感じないと思う」
と答えた人も11.1%いました。
性別に見ると
「名字・姓が変わったことで、
新たな人生が始まる喜びを感じると思う」
と答えた人の割合は女性で、
「名字・姓が変わったことに違和感を持つと思う」
と答えた人の割合は男性で高くなっていました。
男性は結婚で名字を変える人が少ないのに
「違和感を持つと思う」
とは思っている割合が高いのですね。
名字を変えた配偶者あるいは
これから変える婚約者への
心遣いをお願いしたいところです。
家族の一体感や絆と名字との関係
結婚後もそれぞれが別の名字を名乗った場合、
夫婦を中心とする家族の一体感や絆への影響はあるかどうか、
という質問に対しては、
「家族の一体感・絆が弱まると思う」
と答えた人が全体の37.8%、
「家族の一体感・絆に影響はない」
と答えた人が61.6%となっています。
性別に見ると、
「家族の一体感・絆が弱まると思う」
と答えた人の割合は男性で、
「家族の一体感・絆に影響はない」
と答えた人の割合は女性で高くなっています。
年齢別に見ると、
「家族の一体感・絆が弱まると思う」
と答えた人の割合は70歳以上で、
「家族の一体感・絆に影響はない」
と答えた人の割合は
18〜29歳から40歳代でそれぞれ高くなりました。
さらに、夫婦の名字・姓が違うことによる、
夫婦の間の子どもへの影響の有無についての質問には、
「子どもにとって好ましくない影響があると思う」
と答えた人の割合が69.0%、
「子どもに影響はないと思う」
と答えた人の割合は30.3%でした。
都市規模別に見ると、
「子どもにとって好ましくない影響があると思う」
と答えた人の割合は町村で高くなっています。
性別に見ると、大きな差異はありませんでした。
年齢別で見ると、
「子どもにとって好ましくない影響があると思う」
と答えた人の割合は70歳以上で高くなっています。
性・年齢別に見ると、
「子どもにとって好ましくない影響があると思う」
と答えた人の割合は女性の70歳以上で、
「子どもに影響はないと思う」
と答えた人の割合は女性の40歳代でそれぞれ高くなっています。
令和4(2022)年当時で70歳以上の人というと、
いわゆる団塊の世代の少し下までが含まれます。
団塊の世代前後の人たちも、
名字を家族の一体感や絆を強めるものとして大切にとらえ、
家族それぞれの名字が異なることで
子どもに及ぶ好ましくない影響を憂慮していると
読み取れるかも知れません。
選択的夫婦別姓制度についてどのように思うか
現在の制度である夫婦同姓制度を維持することと、
選択的男女別姓制度を導入すること及び
旧姓の通称使用についての法制度を設けることについて、
どのように思いますか、という質問に対しては、
「現在の制度である夫婦同姓制度を維持したほうがよい」
と答えた人の割合が27.0%、
「現在の制度である夫婦同姓制度を維持した上で、
旧姓の通称使用についての法制度を設けたほうがよい」
と答えた人の割合が42.2%、
「選択的男女別姓制度を導入したほうがよい」
と答えた人の割合が28.9%となっていました。
年齢別に見ると、
「現在の制度である夫婦同姓制度を維持したほうがよい」
と答えた人の割合は70歳以上で、
「現在の制度である夫婦同姓制度を維持した上で、
旧姓の通称使用についての法制度を設けたほうがよい」
と答えた人の割合は30歳代、50歳代、60歳代で、
「選択的夫婦別姓制度を導入したほうがよい」
と答えた人の割合は18〜29歳から40歳代で、
それぞれ高くなっています。
前回のブログでご紹介した
朝日新聞社が2020年に行った全国世論調査では、
69%の人が夫婦別姓に賛成していました。
こちらの世論調査との割合の違いが
興味深いところです。
また、
「選択的夫婦別姓制度を導入したほうがよい」
と答えた833人に、
選択的夫婦別姓制度に変わった場合を想定した上で、
夫婦でそれぞれの婚姻前の名字・姓を
名乗ることを希望するかを聞いたところ、
「希望する」と答えた人の割合が30.4%、
「希望しない」と答えた人の割合が28.9%、
「どちらともいえない」と答えた人の割合が38.4%
になりました。
「選択的夫婦別姓制度」の「選択的」の部分には、
個人の価値観を反映させるという意義があるといえるでしょう。
調べてみると、
海外では夫婦別姓制度が一般化されているところも多く、
日本の同姓制度が導入されている国は少ないようです。
名前を付けるときに、
画数をとても大事にしている日本。
結婚によって名前が変わり、
画数が変わることで気にする方もいるでしょうし、
選択肢があったら、
自分らしくいられる方もいるのではないでしょうか。
多様性の時代に沿った柔軟な法制度への期待を記して、
この項を閉じます。
最後に、、、
人々が大事にしていた名字。
私たちの先祖にはどんな名字が存在していたのでしょうか。
夫婦同姓制度によって消えてしまった名字があるかもしれません。
曾祖母方は有名な戦国武将につながっていた?
なんてこともあるかもしれません。
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