ブログ
Blog

2023.12.15
名字の東西分岐点はどこ? 料理の味付けと共通点が?

名字の東西分岐点はどこ? 料理の味付けと共通点が?

 

 

あなたがいまお住まいのところはどこですか。

また、あなたのご出身はどちらですか。

そして、あなたの名字はなんとおっしゃいますか。

 

筆者は東京都内で生まれ育ち、

いまも都内に住んでいます。

 

中学高校の頃までは他府県の出身の方と知り合う機会が

ほとんどありませんでした。

 

ですから、名字に対する感覚も

東日本のものだったと思います。

 

大学に入り、西日本出身の友人ができたり、

編集者としての仕事を始めると

関西の人と多く知り合ったりしました。

 

そこではやはり、

初めて知る名字との出会いがあったことを覚えています。

 

今回は長年姓氏の研究をされている森岡浩さんの著書

『名字でわかるあなたのルーツ』(2017年・小学館)から

名字の東西の境目について抜粋してお伝えしていきましょう。

 

 

 

「佐藤」「鈴木」vs 「山本」「田中」

 

わたしたち関東の人間が

「もっとも多い名字はなにか」と聞かれたとき、

たいていの人が「佐藤さんか鈴木さん」

と答えるのではないかと思います。

 

「佐藤」「鈴木」

東京でも全国でもトップを争う名字です。

 

ところが、大阪府を中心とした関西各府県では

「山本」「田中」の二つの名字が多いため、

関西の人たちは全国ランキングで

「佐藤」「鈴木」が多いことが

いま一つぴんとこないのだとか。

 

森岡さんは1990年代後半から2000年代前半の

各地の紙の電話帳(ハローページ)をもとに

名字のランキングを作成されています。

 

この時代はいまよりずっと電話帳への登録数が多かったからで、

日本のように外国から移民が多数入ってくることのない国では、

20年や30年という時間のレンジでは

名字の分布は変わらないのだそうです。

 

むしろ、登録数が減った

近年の電話帳からサンプルを抽出するほうが、

分布に偏りが出ると森岡さんは考えて、

上記のように登録数が多かった時期の電話帳から

データを取っているとおっしゃっています。

 

森岡さん作成の

「日本人の名字ランキング300」から

トップ20位をご紹介します。

 

  • 佐藤 (さとう)
  • 鈴木 (すずき)
  • 髙橋 (たかはし)
  • 田中 (たなか)
  • 渡辺 (わたなべ)
  • 伊藤 (いとう)
  • 山本 (やまもと)
  • 中村 (なかむら)
  • 小林 (こばやし)
  • 加藤 (かとう)
  • 吉田 (よしだ)
  • 山田 (やまだ)
  • 佐々木 (ささき)
  • 山口 (やまぐち)
  • 斉藤 (さいとう)
  • 松本 (まつもと)
  • 井上 (いのうえ)
  • 木村 (きむら)
  • 林 (はやし)
  • 清水 (しみず)

 

 

境目はどこだ


 

東日本と西日本の文化の違いは、

わたしたちもなにかの機会に実感することがありますね。

 

筆者は以前女性誌の企画で

全国のリポーターにお正月に

どんなお雑煮を食べているかの

アンケートを取ったことがあります。

 

大きく分けて

「おすましの汁に角餅」

「白味噌の汁に丸餅」か。

 

 

境目ははっきりとは記憶にないのですが、

たしか三重県のあたりでした。

 

日本列島は東日本と西日本という分けかたの他に

日本海側と太平洋側という別もあります。

 

名字の場合、

日本海側では新潟県富山県の間で

きっぱりと分かれているそうです。

 

なぜかというと北アルプスの北端にあたる断崖絶壁が

約15キロメートルにわたって

直接海に落ちている「親不知子不知」があるから。

 

いまではこの箇所も鉄道や高速道路で

簡単に越えることができますが、

かつてはここを境に人の行き来が極めて少なかったために、

名字の移動もなかったようなのです。

 

いっぽう太平洋側は、

東海道が通っていて人はよく往来していました。

 

ですから日本海側のように、

ある場所を境に名字がすっかり変わるということはなく、

グラデーションで変化していきます。

 

それでも愛知県や岐阜県はほぼ東日本の名字で、

三重県では東西の名字が混在しているようです。

 

さらに三重県のなかを詳しく調べると、

北部の北勢地区では完全に東日本の名字ですが、

伊賀地区や南部では西日本の名字が中心。

 

中勢地区では東西が混在していて、

どうやら、雲出川(くもずがわ)付近が境目のようです。

 

 

日本海側は新潟県と富山県の間、

太平洋側はグラデーションがありながらも

三重県内部に境目がある───

 

これはなんと日清食品の

「どん兵衛」の開発当初に徹底的に行ったマーケティング調査での

味の好みの東西分岐点に近いそうです。

 

名字も味の好みも人の移動と密接な関係を持っているようです。

 

筆者がかつて調べたお雑煮の分布も

おそらくこれに近いものだったのでしょう。

 

 

あなたも電話帳で名字の分布を調査してみますか

 

森岡さんはこの本の終わり近くで

電話帳による名字の分布調査の方法を詳しく説明しています。

 

固定電話を設置していない家庭も増えてきている現在、

電話帳の存在すら知らない若い世代もいることでしょう。

 

電話帳自体とても薄くなっているそうですが、

それでも県立クラスの図書館にいけば、

全国の電話帳を見ることは可能だとか。

 

1700以上の市町村の電話帳全部を調べるのは大変ですが、

各県の県庁所在地47か所ならば簡単だとおっしゃいます。

47か所だったとしても相当の手間暇が掛かりますよね。

 

電話帳の文字の小ささを思うと、

おそらくお手元用のメガネでは間に合わず、

なんとかルーペも持参しなければならないでしょう。

 

森岡さんの長年のご研究にただただ頭が下がりました。

 

実際の地方による名字の違いについては、

次回のブログでまたお伝えします。

お問合せ・資料請求

家系図ラボのサービスについての
お問合せ・資料請求は、
お電話または下記フォームから
お申込みください。

TEL

0120-600-719

窓口受付時間 午前9時〜午後5時 / 土日祝定休

PAGE TOP