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2023.10.24
手帳を初めて使った日本人はやっぱりあの人? 手帳の歴史

手帳を初めて使った日本人はやっぱりあの人? 手帳の歴史

 

10月の声を聞くと

「そろそろ来年の手帳を探しにいかなくちゃ」と

そわそわする人この指とまれ。

 

文房具店や書店も特設コーナーを

用意して待っていますよね。

 

来年の年号を表紙につけた色とりどりの手帳が

ところ狭しと並んでいます。

 

隣はカレンダー売り場だったりして、

一気に年の瀬感が盛り上がってきますね。

 

なかには迷うことなく

「毎年この手帳」と決めている人や、

愛用の手帳ファイルのレフィルを買い換える人もいるでしょう。

 

それもまたよし。

 

彼らにはそれが新しい年を迎える

大事なセレモニーなのですから。

 

この10数年はスマートフォンの普及で

スケジュールもデジタルに管理できるようになりました。

 

正直それで用事は足りるのですが、

お気に入りの手帳にペンで手書きするということが、

アナログ時代にはなかった

特別な意味を持ってきているのかも知れません。

 

わたしたちが便利さだけで満足するなら、

手帳はすでにすたれてしまっているはず。

 

それどころか、

最近は手帳の活用術の本がベストセラーになるほど、

手帳は人気を集めています。

 

律儀で勤勉な国民であるわたしたちだから

そもそも手帳が好きなのか、

それとも手帳も

他の文化同様明治以降の西欧の影響で根づいたものなのか、

今回もまずは歴史から紐解いてみました。

 

 

世界で初めて手帳を発売したのは

 

世界初の手帳が発売されたのは1812年のこと、

イギリスのレッツ社からでした。

 

文房具店レッツ社の創業は1796年のロンドンで、

現在もイギリスにおける手帳のシェア

40%を誇る老舗となっています。

 

創業者ジョン・レッツ氏は顧客の商人から、

日々の在庫管理や帳簿の記録を

書きとめられるものはないかと求められ、

それまでにあったカレンダーに

日記の要素を加えて見開きを一週間とする手帳の形式を作りました。

 

巻末にはロンドンの船の運航スケジュールや

波の状態を表す潮汐表もつけられていたそうです。

 

アガサ・クリスティのミステリーの登場人物たちは

しばしば手帳にメモをしたり日記をつけたりしていますが、

イギリスの人たちには手元に書きとめる習慣があったのですね。

 

レッツ社の手帳の体裁はいまもオーソドックスかつスマートで

イギリス紳士の美意識を感じさせます。

 

 

 

日本の手帳の歴史は意外にも古くから

 

 

じつは日本の手帳は明治より前に起源がありました。

時代は豊臣秀吉の天下統一の頃、

役人が農地の検地に携行した

「野帳(のちょう)」がはじまりといわれています。

 

「手帳」と呼び名が変わったのは江戸時代。

 

地方(じかた)役人が検地する際に地目、

面積、所有者などを詳細に記録するために、

四つ折りにした半紙を30枚綴ったものを持ち歩き、

これを「手帳」と呼んだのだとか。

 

また、俳諧師や戯作者などが手元に置いて思いつきなどを

書きとめていた帳面も「手帳」と呼ばれました。

 

 

日本に近代的な手帳を持ち帰ったのは、あの人

 

文久2(1862)年、

欧州使節団の一員として渡欧した福沢諭吉

パリで手帳を買って日本に持ち帰ります。

 

『西航手帳』または『西航記』を呼ばれる、

ちょうど手のひらほどの大きさのこの黒革の手帳に、

福沢は欧州旅行中に見聞きしたことを詳しく書きとめました。

 

その内容は帰国後に『西洋事情 初編』として出版され、

慶應義塾の創設にもつながったということです。

 

 

日本製の手帳の最初は警察手帳だった

 

明治元(1868)年、

日本政府の印刷局は警察官軍人のための手帳を製作しました。

 

役職に関する法規や心得などが書かれていたものだそうです。

 

「警察手帳」はいまも刑事ドラマでお馴染みですね。

警察官にとっては身分証明書を兼ねるものですが、

実物を見たことがある一般人はどのくらいいるのでしょうか、

興味深いです。

 

明治12 (1879) 年、

大蔵省印刷局は「懐中日記」を発行、

日本で本格的に作られた初の手帳となりました。

 

大正6(1917)年には小型版「懐中日記」も発売。

 

サラリーマンがポケットに入れて持ち歩くのが

かっこよかったようです。

 

小型、携帯できる、情報リソースである、スタイリッシュ、

という意味では現代のスマートフォンのような

当時の先端的アイテムだったのかも知れません。

 

 

社員へのお年玉から贈答用へ


 

明治13 (1880)年、

住友銀行が横浜馬車道にあった文具店・文寿堂

社名入りの手帳の作成を依頼、

それから企業が年末年始に配る「年玉(ねんぎょく)手帳」が

作られるようになりました。

 

やがて社員だけではなく取引先や顧客にも配られるようになり、

平成のバブル崩壊まで続くこととなったのです。

 

筆者も父親が取引先の商社からもらってくる

革表紙の手帳を毎年楽しみにしていました。

 

世界地図や各国の度量衡まで載った

立派な体裁だったことを覚えています。

 

 

 

システム手帳の流行

 

昭和59(1984 )年には

イギリスのファイロファックス社のシステム手帳が

日本で発売され、

24時間戦うビジネスマンがこぞって使いはじめました。

 

スケジュールやノート、アドレス帳、

クリアポケット、カードホルダーなどを

自分好みに組み合わせられるところが魅力的でした。

 

「ここにぜんぶまとめられる」小型のなにか、

を欲するのは近代以降のわたしたちの

本能のようなものなのかも。

 

21世紀に入り、タブレットやスマートフォンの普及で

スケジュール管理がデジタル化したものの、

最初にも書いたように手帳の人気は衰えません。

 

来年こそは、の思い入れを受けとめてくれるのも

新しい手帳のいいところ。

 

さて、あなたの2024年の手帳は、どんな一冊になるでしょう。

次の週末にでも文房具店に出かけてみませんか。

 

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