2023.10.27
日本の「文豪」って誰だろう
日本の「文豪」って誰だろう
ブログ筆者は編み物を趣味としていて、
編みながら音楽を聴くことが多かったのですが、
最近には音楽も聴きつかれて、
ふとYouTubeの文学作品の朗読に興味を持ちました。
いくつか聴くうち、
あるベテランのナレーターの
落ち着いた味わいの深い朗読にはまり、
短編小説の朗読をたくさん聴きました。
YouTubeで公開できるのは
著作権の問題から没後70年以上経った
作家の作品ということで、
いきおい、明治から昭和の初め頃までに
書かれた小説の朗読ということになります。
筆者が聴いて鳥肌が立つほど
感激したのは芥川龍之介の『杜子春』でした。
或春の日暮です。
唐の都洛陽の西の門の下に、
ぼんやり空を仰いでいる、
一人の若者がありました。
冒頭のこの二行で
もう春の洛陽の夕刻に連れていかれてしまい、
なんだか元気のなさそうな若者の姿が
目に飛び込んでくる文章の素晴らしさ。
耳から聴いたからこその臨場感もあったかも知れません。
その後、夏目漱石、太宰治、江戸川乱歩、山本周五郎、
などつぎつぎに聴いています。
筆者が日本の名作文学を片っぱしから読んでいたのは
小学校から中学の初めまでだったので、
大人として再読することも大事だなと痛感もしました。
人生の経験を重ねたことで理解や
鑑賞の度合いが深まっていることを期待して。
今回のブログでは、
令和のいま、
日本の文豪と人々が認識している作家は誰なのか、
ということにフォーカスしたいと思います。
引用元はウェブマガジン
「All About NEWS」2022年10月7日の記事です。
「日本の文豪」9位までを先に発表
調査母体は全国の10代から70代までの男女316人で
「読書」についてのアンケートがなされました
(2022年9月から10月)。
そのなかで「読書好き」の人たちが挙げた
日本の「文豪」のランキング9位まで。
(4票以上を獲得した作家たち。10位はありません)
1位 夏目漱石 116票
2位 芥川龍之介 69票
3位 太宰治 53票
4位 川端康成 20票
5位 森鴎外 17票
6位 宮澤賢治 9票
7位 三島由紀夫 7票
8位 村上春樹 5票
9位 谷崎潤一郎 4票
いかがでしょうか。
みなさんの予想通りでしたか、
それとも違っていますか。
筆者は「文豪」の言葉に
こだわるならばこの人は入るのかな、
と思う人がいないでもありません。
とはいえ、二桁の票数を獲得している
5人はやはり納得がいきます。
そのなかでも上位3人を見ていきましょう。
第3位 太宰治 53票
教科書で『走れメロス』の一部を読んだのは
中学のときだったでしょうか。
太宰治の文章は平明でわかりやすく、
とくに『走れメロス』は小中学生にも感動を呼ぶ作品です。
『人間失格』『斜陽』などが代表作。
自分自身や人間の弱さを描いた作品も多く、
人気の理由はそこにあるのかも知れません。
アンケートでは太宰治を
「日本の文豪」に挙げた理由として、
「教科書にも載っていて、
本人の人となりとあわせて人気があるから」(29歳女性)
「破天荒な人生に憧れるから」(53歳女性)
「人間臭さ」(49歳男性)
などがあったようです。
第2位 芥川龍之介 69票
筆者が芥川龍之介で初めて読んだ作品は
『トロッコ』でした。
これもたぶん小学校の教科書だったと記憶しています。
35歳までという短い作家生活で
『羅生門』『蜘蛛の糸』『鼻』など
短編小説を中心に300篇を超える作品を描いた芥川龍之介。
文学賞に名前を遺すにふさわしい
日本を代表する作家の一人ですね。
「たぶん写真のせい。
神経質そうな面差しと
ポーズがまんま『文豪』のイメージ」(50歳女性)
このコメントの他にも、
あの有名な顎に手を当てた写真に
言及する意見がいくつもあったようです。
ビジュアルからしてすでに「文豪」というわけですね。
他の作家にはない感性や表現力があるから、
という声もありました。
第1位 夏目漱石 116票
芥川と漱石、
どちらが1位だろうと思いつつ開いたら、
このアンケートでは漱石でした。
昭和59年から平成19年までは
千円札の顔でもあったことも考えると
三桁の票で堂々の1位は当然の結果なのかも知れません。
回答者の声は、
「小学校でそう
(日本の文豪だと)教わったから」(47歳男性)
「学校でそう習い、
休みごとの宿題に読書感想文を書かされたから」(54歳女性)
と、少々受け身なコメントが。
他には紙幣にもなっているということを理由に挙げた人や、
作品の多様性や
その後の日本語に与えた影響に言及した人もいました。
漱石以外にも明治の作家や俳人は
外国語を訳してたくさんの新しい言葉を作っています。
漱石の代表作は、
『吾輩は猫である』『坊ちゃん』『三四郎』『それから』など。
いま読んでも古さを感じない
モダンな文体が魅力の一つです。
また、まだ学生だった芥川龍之介が書いた
『鼻』を高く評価したのは漱石でした。
芥川は漱石によって
世に出たといっても過言ではないでしょう。
番外の作家も読み返したい
じつは筆者が小学生のときから憧れている作家は
今回のランキングには上がってこなかった志賀直哉です。
とても残念。
活字による紙の本が読まれなくなっている現代ですが、
日本のすぐれた文学作品が
なくなってしまったわけではありません。
最初に書いたように、
朗読で聴いてみるのもよし、
ネット上のいわゆる青空文庫のようなサイトで読むのもよし、
もちろん書店や図書館で本そのものを手に取るのもよし。
自分にとってもっともアクセスしやすい方法でぜひ、
文豪たちの名作に触れてみてください。