2023.03.10
春がきた 語源と俳句、連想するものランキング
春がきた 語源と俳句、連想するものランキング
春のお彼岸も間近。
桜の開花宣言が待たれる頃合いになりました。
春の訪れにうきうきしてしまうのは、
わたしたちが四季のある日本に生まれ育ったからでしょうか。
それとも、新入学や進学の季節だからでしょうか。
厚い上着を脱いで軽やかな装いに衣替えができるからでしょうか。
春の語源を求めて辞書をひもとけば、
語源自体は明らかではないけれども、
・草木の芽が「張る(はる)」(つぼみになる)季節であることから
・田畑を「墾る(はる)」季節であることから
・気候の「晴る(はる)」が転じて
という説がそれぞれ考えられているようです。
春がきて胸がわくわくすることも
「張る」感覚がしますから、
やはり春には「はる」より他にふさわしい言葉は
ないように思われます。
春の有名な俳句
つぎはテレビの人気バラエティ番組から
お茶の間にも浸透しつつある
俳句の世界から「春」を見てみましょう。
俳句は季節の移り変わりを感じる繊細な感性を
17文字にのせる文芸といえますが、
先達の俳句はさすがに味わい深いものです。
そのなかでもわたしたちにも
わかりやすく親しみやすいいものを五句挙げましょう。
春の山らくだのごとくならびけり 室生犀星
山が連なってやわらかい曲線を
描いているさまをらくだの背中のようだと表現した句。
薄く霞んでいる春の山とらくだ、
なんとものどかな気分になる組み合わせですね。
チューリップ喜びだけを持っている 細見綾子
チューリップのイメージは
「喜び」そのものだと作者はとらえています。
童謡にも歌われるように、
こどもが最初に覚える花の一つでもありますね。
雪とけて村いっぱいのこどもかな 小林一茶
春の日差しで雪がとけて、
村のこどもが一斉に外に出てきて
遊んでいる様子が描かれています。
一茶は豪雪地帯である
現在の長野県信濃町あたりでこの句を詠みました。
冬を越した喜びがこどもたちの歓声にあふれているようです。
赤い椿白い椿と落ちにけり 河東碧梧桐
この句には解釈がふた通りあります。
一つはたったいま、
赤い椿、白い椿が
ぽとぽと落ちていったのを見てはっとしたという解釈。
もう一つは、
地面に落ちた紅白の椿を見て詠んだという解釈。
いずれにしても、
赤と白のコントラストが美しいですね。
卒業の兄と来てゐる堤かな 芝不器男
卒業を迎えた兄と堤防にきている作者。
二人はなにを話しているのか、
なにも語らずに佇んでいるのか。
読み手の想像で映像とストーリーが膨らむ一句です。
春を詠んだ五つの俳句、いかがでしたか。
歳時記には春の季語を代表する秀れた俳句が
たくさん掲載されていますので、
よかったら書店や図書館で手に取られてみてください。
春といえば連想するものランキング
最後はさらに身近に、
マイナビニュースから、
春といえば連想するもののランキングを見てみましょう。
マイナビニュース会員の男女511人に
昨春取られたアンケートから紹介します。
まずは大前提の質問から。
春と聞いて連想するものはありますか。
「ある」 89.2%
「ない」 10,8%
1割の方々のハードボイルドな回答に逆に興味を引かれます。
他の季節はどうなのですか、とか。
では、春と聞いて連想するものの
ランキングの上位を一気に見てみましょう。
1位 桜 78.2%
2位 花粉症 3.7%
3位 花見 2.9%
3位 卒業 2.9%
5位 桃の花 2.4%
5位 菜の花 2.4%
7位 春一番 1.3%
7位 入学 1.3%
9位 チューリップ 0.9%
9位 別れ 0.9%
9位 桜餅 0.9%
「桜」が圧倒的な支持率(78.2%)で1位です。
これはもう日本を象徴する花
第1位といってもよいでしょう。
「春といえば『桜』しか思い浮かばない」
「毎年開花を楽しみにしている」
「思い返すと桜は色々なことの節目に寄り添ってくれた木だと思うから」
などの意見がありました。
あとの回答は一桁台となりますが、
春からの連想としてはなるほどと
思わせてくれるものばかり。
2位が「花粉症」(3.7%)というのは、
それだけ悩まされている人が多いということでしょう。
「最近になって花粉症がいちだんとひどくなり、
春といえばウキウキするはずなのに、
憂鬱な季節になってしまった」
という気の毒な意見も。
3位の「花見」(2.9%)は、
コロナ禍がようやく落ち着いた
今年にアンケートを取ったら
花粉症を抜く、かも。
(しかし今年の花粉の悲惨は大量とも聞きますから抜かない、かも)
1位の「桜」に連動した回答ですね。
もうじき届く開花のニュースがほんとうに楽しみです。
同率3位の「卒業」(2.9%)は
うれしい行事である反面、
お世話になった学校や先生方、
友人との「別れ」(9位 0.9%)でもありますから、
寂しいものでもありますね。
松任谷由実さんの「最後の春休み」を聴くと、
寂しさとせつなさとともに
卒業した学校の情景がよみがえるので、お勧めです。
卒業の次には「入学」(7位1.3%)も
やってくるので楽しみな春ではあります。
5位の「桃の花」と「菜の花」(2.4%)は
いかにも春らしく愛らしい花ですね。
9位の「チューリップ」(0.9%)と同じく、
明るいひざしの中に咲いているイメージです。
ところで「春一番」(7位 1.3%)はもう吹いたのかしら。
と思った方。
あなた自身は今年はなにから春を感じとることでしょう。
春コーデを楽しんでテラスでお茶をしたり、
新しい春コートを着てお出かけしたり、
春の嵐に踊らされたり、
春から始まるアニメを楽しみにしてみたり、
色々なことで春を感じられるでしょう。
「桜餅」(9位 0.9%)を食べながら、
家族や友人と春について
ゆっくり語らってみるのもいいですね。