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2023.10.10
月と日本人

月と日本人

秋が始まり、

空気が澄んでくると月も綺麗に見える気がします。

 

2023年の中秋の名月は9月29日

 

この日は太陰太陽暦の8月15日に当たります。

(太陰太陽暦とは月の満ち欠けのほかに

1年間の太陽の動きを考えに入れた暦で

日本の旧暦もこれに属します)

 

わたしたち日本人はとくに月を愛でる民族といえそうです。

 

たとえばロシアでは月を眺める習慣がないとか。

 

ギリシャ神話にはアルテミスをはじめとして

月の女神たちが登場しますが、

欧米では鑑賞の対象にまではなっていないようです。

 

 

 

月の呼び名もこんなに豊か

 

帰りが夜になって空を見上げて月が出ていると、

思わず「三日月だ」、「半月」、

「満月だわ」、「上弦の月ね」などと

ひとりごつ筆者ですが、

呼び名のバリエーションが物足りませんね。

 

日本人は古来、

月を満ち欠けによって豊かに呼びならわしてきました。

 

【新月・つごもり】 太陰太陽暦の30日ごろ

【三日月】 3日ごろ

【七日月】 7日ごろ

【十日余月(とおかあまりのつき)】 11日ごろ

【十三夜月】 13日ごろ

【望月(もちづき)・満月】 15日ごろ

【十六夜月(いざよいづき)】 16日ごろ:「いざよい」には「なかなか進まない」という意味がある

【立待月(たちまちづき)】 17日ごろ:日没後、立って待っているうちに出てくる月

【居待月(いまちづき)】 18日ごろ:月の出が遅いため座って待つ月

【臥待月(ふしまちづき)】 19日ごろ:月の出がかなり遅いため、臥して待つ月

【更待月(ふけまちづき)・宵闇月(よいやみづき)】 20日ごろ:夜も更けてから出てくる月

【二十日余の月(はつかあまりのつき)】 22日ごろ

【二十三夜月】 23日ごろ

 

 

これらのほか、

日没前後に見える月の総称として「夕月」

明け方にまだ残っている月を「有明の月」

半円形の月を「弦月(げんげつ)」

「弓張月(ゆみはりづき)」などと呼びます。

 

名前の種類の多さと、情緒の豊かさ。

 

昔の人々がどれほど月を身近に感じ、

感情を込めて見上げていたかがわかりますね。

 

 

 

『徒然草』の月

 

日本人の美意識といえば

「わびさび」が代表的なものとして挙げられます。

 

完全無欠の美しさよりも、

どこか翳りのあるものに美しさを見出すのが日本人。

 

とくに知識人にはその傾向が色濃く見られます。

 

鎌倉時代末期の歌人であり

随筆家の吉田兼好『徒然草』のなかで

こういっています。

 

「花は盛りに月は隈なきをのみ見るものかは」

 

花は満開に咲きほこっているときだけを

美しいと感じて見るものとは思わない。

 

月もただ皓々と照り輝いている月だけを

見たいとは思わない。

 

雲の陰に隠れていたりして

見えにくくなっていたりするときの月のほうが好ましい。

 

卑近なたとえでいうなら月もチラリズム。

 

雲の陰から出てきたときは

どれほど美しいのだろうという想像も月の美しさのうち、

ということでしょうか。

 

 

 

月と戦国武将

 

月をもっとも愛した戦国武将はおそらく

伊達政宗だったでしょう。

 

戦に赴く際の鎧兜に武将たちは意匠を凝らしましたが、

なかでも伊達政宗の兜はクール。

 

黒塗りの兜に

大きな金の三日月形の前立てがつけられています。

 

その鋭利な曲線の輝きは、

戦場でももののふたちの目を奪ったことでしょう。

 

 

伊達政宗は時世の句でも月を詠んでいます。

 

「曇りなき心の月を先立てて浮世の闇を照らしてぞ行く」

 

どこまでかっこいいのか伊達政宗。

 

 

 

夏目漱石の翻訳力はさすがなのか

 

明治の文豪の一人、

夏目漱石の文章は、ユーモアに富み、

現代に通じるモダンさを持っていると

筆者は感じていますが、

彼も月について有名な逸話を残しています。

 

英国留学の経験を持ち、

英語にも精通していた彼は「I love you」

「月がきれいですね」と訳したのだとか。

 

これは翻訳というよりも、

日本人が「I love you」と伝えたいときには、

その通りに「愛しています」などとはいわず、

月にかこつけて婉曲表現するだろうという

文化批評になっているように思います。

 

夜空をいっしょに見上げている人に

「月がきれいですね」といわれたら、

すわ愛の告白か、と深読みしましょうか。

 

 

 

宝塚にも「月」組が

 

 

日本の「月」最後の段落は、

筆者の推す宝塚歌劇団月組のご紹介におつきあいください。

 

宝塚歌劇団には現在五つの組がありますが、

「月」組は1921年に「花」組と同時に誕生した

二番目の組とされています。

 

102年の歴史を持つ組なんですね。

 

組のカラーは黄色で月の光がイメージされます。

 

ちなみに、そのほかの組は

「雪」「星」「宙(そら)」および「専科」です。

 

それぞれの組には特色がありますが、

月組はお芝居に強いトップスターや

組子(メンバー)を輩出したことから

「芝居の月組」とも呼ばれます。

 

1974年に『ベルサイユのばら』を初演したのも月組でした。

 

現在の男役トップスターは月城かなとさん。

 

芸名に「月」が入っていますが、

元雪組で二番手スターとして

月組に「組み替え」してきました。

 

月城さんの相手役を務める娘役トップスターが海乃美月さんで、

彼女は芸名の最後に「月」

 

月組トップコンビとなるべく運命づけられたかのような二人です。

 

 

9月29日中秋の名月は雲隠れでしたが、

これから空気が澄んで、きれいな月が見える季節になりますね。

 

もっとも吉田兼好がいうように、

少しだけ曇って月が隠れるときがあるのも日本的なのかも知れません。

 

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