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2023.10.06
東さん西さん南さん北さん 方角名字の謎を追う

東さん西さん南さん北さん 方角名字の謎を追う

 

 

あなたのお知り合いに、

方角を名字に持った方はいらっしゃいますか。

東西南北、そのものの名字だけではなく、

東西南北を名字の一部に持った方は?

 

あなたご本人が上のどちらかに当てはまりますか?

 

筆者には方角そのものの名字を持った知り合いも、

一部に方角の文字を持つ名字の知り合いもいます。

 

あの「北」社長の通販で購入した

空気清浄機も愛用しておりますし。

 

一般的にも有名人、

映画、小説、漫画やアニメーションでもよく見かけますね。

 

わりとポピュラーな名字といえるのではないでしょうか。

 

今回のブログでは

NHKの人気番組の

書籍化『日本人のおなまえっ!』

(集英社インターナショナル)から

「方角名字の謎」について抜粋してお伝えします。

 

 

 

世界的に見ても日本には方角名字がきわめて多い

 

名字研究家・森岡浩さんによれば、

 

「世界的に見ても、

東西南北を使った名字は日本にきわめて多いと思います。

つまり、これは日本が農耕民族ですので、

日当たりや方角などをすごく気にしていたという。

そういうことが、

いまの名字にちゃんと残っているんです」

 

とおっしゃっているとか。

 

たしかに、日本には人々が田畑を耕し、

共同体で助け合って生活してきた長い歴史があります。

 

東西南北をはじめ方位方角の名字を持った方々は、

日本の暮らしとその歴史を代表している

とも言えるのではないでしょうか。

 

 

 

「東」さんの読み方が、西と東、そして沖縄で違う


 

方角名字のなかで、

ふりがながついていないと

ちょっと困ってしまうのが「東」さんです。

 

「ひがし」さんなのか、

それとも「あずま」さんなのか。

名前をまちがえて呼んでしまうと失礼なので緊張する場面です。

 

NHK「日本人のおなまえっ!」で

全国1500人にアンケート調査を行ったところ、

「東」さんを

「あずま」さんと読む人が51.6%

「ひがし」さんと読む人が48.4%で約半々という

結果になったそうです。

 

ただし、地域別に見ると、

関東では「あずま」さんと読む人が約6割なのに対し、

九州では「ひがし」さんと読む人が7割以上だったとか。

 

一方、北上すると東北6割以上

北海道は7割以上「あずま」さん読み。

 

おおむね、

東日本は「あずま」さん読みで、

西日本は「ひがし」さん読みと東西で二分されたようです。

そして驚くべき結果が出たのが沖縄。

 

「あずま」さんでもなく

「ひがし」さんでもない

「あがり」さんという第三の読み方が浮上したのだそうです。

 

日本語学者、

漢字学者の笹原宏之さんによれば、

中国から漢字が伝わってきたときに、

地域によって遣っていた言葉が読みとなり、

名字にも反映されたと考えられるとか、

つまり、西日本の人たちは

方角の「東」「ひがし」といっていたから、

方角と名字も「ひがし」という読みになったというわけです。

 

対して「あずま」は、

もともと西日本から東日本一帯を指す言葉でした。

 

笹原さんの説明では、

「あずま」の語源は「明端(あけつま)」

日が明ける端っこという意味だったのが

短くなって「あづま」に、

文字が追いかけて「あずま」になったのだとか。

 

沖縄「東」「あがり」と読まれるのも、

日が上る「あがり」からきていて、

「西」「いり」と読まれるのも同じく、

日が入る方角だからだそうです。

 

名字には古い読み方が化石のように残っている、

といわれるゆえんですね。

 

 

 

西村さんや北村さんは多く、東村さんや南村さんが少ないのはなぜ?

 

東さん南さんが比較的ポピュラーなのに比べ、

東村さん東山さんは珍しいし、

南村さん南山さんはレアという印象がある。

 

それに比べて、

西では、北村さん西村さん

北山さん西山さんは一般的によくあって、

クラスに一人はいたのではないでしょうか。

 

名字における東西南北の格差についての疑問が湧いてきます。

 

名字研究家・森岡浩さんによれば、

 

名字が一般庶民にまで広がったのは

鎌倉時代から室町時代にかかけてだといわれています。

その頃の日本人の暮らしが、

西の名字が多いということに

反映していると考えられるのです」

 

山があったとき、

鎌倉時代から室町時代の日本人が好んで住んだのは

山に接した平地だったそうです。

 

山には水源があって

近くの平地は田んぼにしやすい、

敵から攻められたときには山を背に

して守りやすい、

という利点がありました。

 

東と南が開いている平地が日当たりがよく

稲がよく実る一等地となり、

集落は田んぼから

見て西と北にできます。

 

そのため、

「西」「北」のつく名字が多くなったのだとか。

 

 

当時の人々が稲作のため、

また戦乱の世に自分たちと土地を守るため、

方角を考慮した結果

が名字にも表れているわけです。

 

元クラスメイトの北村くんや西山さんに

思わず教えてあげたくなる話ではありませんか。

 

 

 

「東」「西」「南」「北」さんが揃う集落があった


 

石川県能見(のみ)市下開発(しもかいはつ)町には

「東さん」「西さん」「南さん」「北さん」

揃う集落があるのだそうです。

 

「東さん」ゾーンには東さんばかりが住み、

他三つの名字の家もそれぞれのゾーンに住まい、

中心には「中さん」ゾーンがあります。

東西南北中さんで全住民の8割を占めているのだとか。

 

1875年に明治政府が名字を義務化したとき、

どう名乗っていいか悩んだ下開発町の住民たちは

庄屋さんに相談。

 

庄屋さんはそれぞれが住んでいる方角で

名字を割り振っていったのだそうです。

 

人口減少が進むこの時代にあって、

下開発町が家の数を減らすことなく維持できているのは、

東西南北の方角名字によって地域の結束が保たれているから、

と地元の方はおっしゃっているのだとか。

 

方角名字の歴史がいまも息づいているのが素晴らしいですね。

 

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