2023.02.24
3月3日のひな祭りはいつから? 雛人形の由来
3月3日のひな祭りはいつから? 雛人形の由来
着物姿の小さな女の子たちが登場する
雛人形のCMはいつ見てもかわいらしいものです。
「人形は顔が命」
なんてコピーも
長く続いていますね。
わたしたちのイメージでは
ひな祭りといえば、
CMのような赤い毛氈の敷かれた
何段もの雛人形が浮かんできますが、
ひな祭りの始まった時代、
人形は「流し雛」といわれる
人形(ひとがた)だったそうです。
民芸品にいまも残る「流し雛」を
見たことがある方も
いらっしゃるかも知れませんね。
わらで編んだ丸い舟に
赤い紙の衣装を着た素朴な
お内裏様とお雛様が乗せられています。
筆者はこどもの頃に
お土産でそれをいただいて
「川に流すなんてかわいそう」
と涙目になったことがあります。
中国の「上巳の節句」に由来する「桃の節句」
ひな祭りの由来は諸説ありますが、
中国で行われていた
「上巳(じょうし)の節句」
が日本に伝わってきた
という説が有力だといわれています。
中国には「五節句」といわれる
5つの行事があります。
それらは、
1月7日「人日の節句」、
3月3日「上巳の節句」、
5月5日「端午の節句」、
7月7日「七夕の節句」、
9月9日「重陽の節句」
です。
またそれぞれに、
食べたり体につけたり
お風呂に入れたりする植物があります。
「人日の節句」はおかゆに入れる七草。
「上巳の節句」は桃の花で、
桃の葉をお風呂に入れていました。
「端午の節句」は花菖蒲、
菖蒲の葉をお風呂に入れます。
これはいまでもしていませんか。
「七夕の節句」は
笹竹に願い事を書いてつるしますね。
「重陽の節句」は菊をお酒に入れたり、
菊にかぶせた綿で体を清めたりします。
3月3日は桃の節句ということで、
お雛様の横に桃を飾るのもそのためです。
梅のあと、
桜より早く咲く桃の花は
女の子の節句にふさわしい
愛らしい花ですね。
穢れを払う流し雛と宮中の「ひいな遊び」
古来中国の人たちは
季節の節目である
「節」の時期には
体に邪気が入りやすいと考えていました。
五節句の一つ
「上巳の節句」
には川で身を清めていたそうです。
その習慣が日本に入ってきて、
紙などで作った人形(ひとがた)で
体を撫でて穢れを人形に移し、
川に流して邪気払いをするという
行事に変化したのだとか。
平安時代、
宮中では「ひいな遊び」といわれる
人形を使ったおままごとのような
遊びが行われていました。
この遊びと流し雛の風習が合わさり、
「女の子の成長と幸せを願う」
ひな祭りが生まれたのではないか
といわれています。
江戸時代には飾るお雛様が登場
時は流れて江戸時代。
幕府は上の「五節句」を
正式に行事として制定しました。
5月5日の
「端午の節句」
には男の子の成長を祝い、
3月3日の
「桃の節句」
には女の子の成長を
祝うようになっていきます。
また江戸時代になると、
人形職人の技術が発展、
ひな祭りに使う人形も
美しく精巧なものへと進化しました。
川に流すのは惜しいような
雛人形が生まれたのですね。
次第に雛人形は家に
大事に飾るものになっていきました。
また、豪華な雛人形は
武家に嫁ぐ際の嫁入り道具の一つとなり、
家の裕福さを示すものとして発展したのです。
お内裏様とお雛様以外の人形が加えられ、
食器やお道具も本物さながらのミニチュアが作られ、
雛壇に何段も飾られるようになりました。
お内裏様とお雛様の左右はどちらが正しい
わたしたちは一口に
「お雛様」とか
「雛人形」といってしまいますが、
「お雛様」は女雛(めびな)
すなわち女性の人形を指します。
男雛(おびな)は「お内裏様」です。
では、
雛壇の最上段にお二人を飾るときには、
どちらを右に、どちらを左に
飾るのが正しいのでしょうか。
現在では一般的に、
お内裏様を向かって左に、
お雛様を向かって右に飾ります。
CMや広告の写真、
専門店やデパートの雛人形売り場でも
そうなっていますが、
これは昭和になってからのことだそうです。
理由は昭和天皇の即位大礼での
天皇皇后両陛下の並ばれかただとか。
古来、日本の天皇と皇后は、
向かって右に天皇、
左に皇后の配置で並ばれていました。
ですから、
雛人形もそれにならって、
右にお内裏様、
左にお雛様を飾っていたのです。
西洋では反対に、
左に王、
右に王妃が並ぶしきたりがありました。
昭和天皇は即位されるときに、
西洋式を取り入れ、
左に天皇、
右に皇后と並ばれて写真を撮影されました。
それを見た東京の雛人形メーカーは
こぞってお内裏様とお雛様の並べ方を
天皇皇后にならったということです。
いまでも京都など一部の地域では、
大正以前のように、
右にお内裏様、
左にお雛様を飾っているそうです。
ひな祭りの季節、
関西に旅行したら
確かめてみたいところですね。
お雛様を早くしまったほうがよい理由
2月の中頃、
お雛様を出して飾るのは楽しい仕事です。
ひなあられをお供えして、
桃の花や菜の花を生けると
ますますひな祭りが近づいた
気持ちでわくわくしたものです。
そんなふうに待ちに待った
3月3日が過ぎて、
4日になると、
おかあさんやおばあちゃんが
こんなことをいいませんでしたか。
「お雛様を早くしまわないと、お嫁に行き遅れるよ」
令和も5年となり、
「お嫁」も「行き遅れ」も
時代遅れすぎる言葉になりましたが、
お雛様はなんとなく早くしまったほうが
いいかなと思うこともたしか。
ほこりなど丁寧にはらって、
大切にしまいましょう。
また来年のひな祭りに会えることを楽しみに。